メラトニン 乳がん 前立腺がん を抑制する効果について紹介します。 メラトニン は、脳内の松果体において生合成される ホルモン です。 網膜から入った外界の光刺激は、体内時計(生物時計・視交叉上核)を経て松果体に達します。
明るい光によって メラトニン の分泌は抑制されるため、日中には メラトニン 分泌が低く、夜間に分泌量が十数倍に増加する明瞭な日内変動が生じます。
- 主成分
- メラトニン
- 効能
- 時差ボケや季節性気分障害の改善 抗ガン作用
- 副作用
- 一過性のうつ、日中でも眠くなる
- 注意
- ホルモンなので妊娠中は摂取できない
乳がん 前立腺がん 抑制する 『 メラトニン 』 夜だけ放出されるホルモン
出張や旅行で海外に出かけることは珍しくなくなったが、地球を「横」に移動するときに困るのが時差ぼけです。日本から飛んでニューヨークやシカゴで仕事をしようとまぶたしても、到着したはいいが、瞼がやたらに重かったとか、会議で普段の力がいまいち発揮できなかったという人は多いものです。
また、中年になって熟睡できないとか、寝付きに時間がかかると嘆く人が多く悩まされています。こういった人をターゲットに根強い人気を誇るのが 「 メラトニン 」 です。
海外では、 メラトニン はサプリとして市販されているが、日本では認められていません。
しかしインターネットを通じて、海外から自由に入ってきた結果、わが国でも人気サプリの定番となっています。
まるでシンデレラ物語のようだった。1995年8 月7日号の「ニューズウイーク」誌で 「 メラトニン 」 の特集を組んだことが引き金となり、一夜にしてアメリカ中で メラトニン 旋風が巻き起こりました。
そこには、メラトニンには睡眠、時差ぼけ、ストレス、がん、免疫の増強、心臓病の予防、強力な抗酸化作用があると、期待を込めて書かれていました。
これを読んだ人々は、 メラトニン をなんにでも効く「魔法の弾丸」と勘違いして、健康食品の販売店に押しかけて大騒ぎとなってしまいした。
メラトニン はセロトニンからつくられ、脳の内部の松果体という松かさに似た形の器官から放出される ホルモン です。
夜だけ放出されるため、「暗闇のホルモン」というニックネームがついています。メラトニン のはたらきは、まだ不明な点も多いのですが、はっきりしているのは、性ホルモンや成長ホルモンなどの重要なホルモンを放出するタイミングを整えていることです。
夜、 メラトニン が放出されると体温が下がり、眠りにつきやすくなります。すなわち、わたしたちが夜に眠り、朝に目覚めるという 1 日の周期( 概日周期)、いわゆる「体内時計」をコントロールしているのです。
メラトニン が発見されるずっと以前から、松果体は人々の興味の的であった。古代ギリシア人は松果体を「魂の住処」と考えていました。
17〜18世紀、医師たちは、松果体の異変と心の病を結びつけて考えていました。1900 年代になると、松果体がホルモン系と関係していることを信じるようにないrました。松果体の重要なはたらきが科学的に最初に証明されたのは、 メラトニン が分離された1958年です。
今では松果体の唯一の役割は、 メラトニン をつくり、放出することであると信じられています。
ネズミには 長生き効果 あり
日照時間の短い冬場だけ気分がすぐれないとか、食欲不振、眠れないなどの症状に襲われるのは、 季節性気分障害 です。これには、朝、光に当たる光療法が有効なことが知られています。
これは、毎朝、決まった時刻に一定の時間、光に当たることで、松果体においてそれまで不調だった メラトニン の合成と分解のタイミングが整えられるためと理解できます。どうやら、 季節性気分障害 や 時差ぼけ の原因は、松果体からの メラトニン 放出のタイミングのずれに原因があるようです。
メラトニン は、活性酸素に対する抗酸化作用も備えています。 メラトニン 入りのエサを食べたネズミが31 ヶ月、 メラトニン の入らないエサを食べたネズミが25 ヶ月と、 メラトニン 入りのエサを食べたネズミのほうが長生きだったことが、この抗酸化作用によって説明できます。
では、メラトニン の長生き効果はヒトでも期待できるかというと、有効性をしめす治験結果はまだ発表されていません。 メラトニン が、体内に高濃度で存在する ビタミンC や E 以上に強い抗酸化作用を発揮するとは思えないことも問題です。しかし、後述するように、 メラトニン が抗がん作用を持つことが確認されているから、すごい ホルモン であることに変わりはありません。
時差ぼけ に有効な摂取時期
時差ぼけ を治すのに メラトニン が有効なことは、いくつもの治験で明らかとなっています。ニュージーランドにあるオークランド大学のベトリ教授は、どんなタイミングで メラトニン を摂取すれば時差ぼけにいちばん有効かを、「生物精神医学」誌に報告しました。
まず、52人の国際線乗務員を無作為に 3 グループに分けた。早期摂取グループ(目的地に到着前に1日 5 mg のメラトニンを 3 日間摂取し、目的地で1日5 mg を 5日 間摂取)、後期摂取グループ(目的地に到着前に偽薬を3 日間摂取し、戻ってから メラトニン を 5 日間摂取)、そして偽薬を摂取した対照群です。
この 3 グループについて、出発地に戻ってから 6 日目に、 時差ぼけ の度合い、気分、睡眠の度合いを調査したところ、後期摂取グループがいちばん効果的に回復していました。
時差からの回復にかかった時間をくらべると、早期摂取グループは対照群よりもさらに長くかかりました。この研究結果からわかることは、時差ぼけを治すためのいちばんすぐれた方法は、到着地で就寝前に5 mg の メラトニン を摂取することです。
不眠症 に効く
夜、眠くなるのは、松果体から放出される メラトニン の効果です。夜になっても メラトニン が十分に放出されない、あるいはメラトニンが不足すると、不眠におちいる。いくつもの治験で、 メラトニン が不眠を改善することは証明されています。
しかし メラトニン の摂取がもっとも有効に睡眠を引き起こすのは、メラトニンレベルが低いケースです。
これは言い換えるなら、 メラトニン を摂取しても、睡眠薬を服用したときのような効果はないということです。つまり、健常者が寝る直前に メラトニン を飲んでも、そのおかげで特別に眠くなるということはありません。また、メラトニンレベルが正常な不眠症患者が飲んでも効果は得られません。
通常、メラトニンレベルは就寝前に上昇するからです。松果体がつくり放出するメラトニンレベルがふつうよりかなり低い人にだけ、 メラトニン 摂取は有効ななのです。このタイプの不眠に悩む人は、高齢者に多い傾向です。
治験でも抗がん効果を発揮
メラトニ が、がん、とりわけ 乳がん や 前立腺がん といったホルモンに関係するがんを、効果的に抑制することがわかっています。通常より電磁場の強い環境に住む人々や、そこではたらく人々にがんが発生しやすいことが報告されていますが、この原因は、 メラトニン の合成が抑えられるからと推測されています。
ヒトや動物に光(可視部の電磁波)を当てると、松果体による メラトニン の生産が急激に減少します。血液中の メラトニン 値も低下します。
このように、人工的な電磁場にさらされることによって メラトニン値 が下がることが、発がんのリスク要因になっているのかもしれません。
がん患者での治験でも、 メラトニン が抗がん効果を発揮することが判明しています。
治験での用量は、1日 10 mg から 40 mg 以上とかなりの幅があります。
インターロイキン2 (I L -2 ) やインターフェロンを単独でがん治療に用いても効果がないことが多いが、 メラトニン と併用することで、良好な結果が得られます。その一例を紹介します。
イタリアのリッソニ博士は、 I L -2 と メラトニン の併用効果を「英国がん雑誌」に報告しました。進行性の固形がん(胃がん 大腸がん 膵臓がん など一箇所に固まって発生するがん) 患者80 人を 2 つのグループにわけ、一方には I L -2 を単独で1日300万国際単位を週 6 日 4 週間、もう一方には同量の I L -2 と40 mg の メラトニン の2薬を同期間摂取してもらい、両グループの症状をくらべました。
結果は、著しい改善が得られたのは、 I L -2 とメラトニンを併用したケースで、41人中 3 人、 I L -2 単独使用ではゼロ。部分的な改善は、 I L -2 と メラトニン の併用が 41 人中 8 人、 I L -2 単独では 1 人。1 年後の生存者は、 I L -2 と メラトニン の併用で 19 人、 I L -2 単独で 6 人でした。
また、固形がんが転移して標準的な治療法がない患者 10 0 人を対象にした治験で、1年後の生存率は、 I L -2 とメラトニンの併用グループは 52 人中 21 人、緩和ケアだけを受けたグループは 48 人中 5 人と、こちらも格段に高かくなりました。
深刻な副作用はなし
1日に推奨される メラトニン の用量は数 mg 。それでも、1日に尿中に排泄される メラトニン の総量 0.0 3 mg よりはるかに多いのです。理論的には正常な概日周期を乱す可能性があるにもかかわらず、1日数 mg を摂取しても、深刻な副作用は報告されていません。ただし、 1 日 8 mg のメラトニンを 4 日間摂取したら、概日周期が乱れた例が1つだけ報告されています。
不眠や時差ぼけなど、 メラトニンレベル が低いことが疑われるとき、 メラトニン を摂取することは有効です。
摂取すべき量は確定されていないが、睡眠の前に 3 mg で十分です。メラトニンレベルが低いときには、 0 .1 〜0 .3 mg の摂取で眠りを誘うことが確認されています。
もしも抗がん効果を期待するのなら、これ以上の用量が必要です。 ビタミンB2 は メラトニン の放出にかかわっています。高齢者のメラトニンレベルが低いのは、B2 が低いのが原因です。
そんな人は、 ビタミンB2 を1日に1.5 mg 摂取すると、睡眠・覚醒リズムの乱れが是正されることがあります。
https://www.vitamin-qa.info/2015/09/26/post-281/